架空空間に引きずり込むブログ

ただ一人の大切な友のために書くブログです。離れていてもソウルは一つ!

あまりにも更新が遅いので…文章の冒頭のみ掲載します。

 例の「シン・仮面ライダー」のついて持論を語る文章ですが、鋭意執筆中です。ただ、読者の方も待っているのが退屈でしょうから、後日改めて再録するものの、冒頭の文章だけでもアップしたいと思います。

 

 ある意味で、『シン・仮面ライダー』は幸運だったと言える。仮面ライダー50周年記念プロジェクトの一環として、先行して公開された「仮面ライダーBLACKSUN」が特撮マニアにとってあまりにも原作のファンを虚仮にした内容だったからである。もとより、あの社会派な監督に下駄を預けた以上、或る程度のことは予測出来たし、無論、心から仮面ライダーBLACKを愛している訳ではないであろう監督が撮るからには、少々のことがあってもいちいちクレームをつけるほど思慮浅い輩ではないという矜持も私は既に持ち合わせている。だから、残虐っぽい?バトルシーン(陳腐だったけど)を見ても、オリジナルの怪人に遠く及ばない怪人デザインを見ても、第二次世界大戦やら731部隊やら人種差別の暗喩(直喩か?)を見ても、完全体に変身しても今一つ強くない創世王候補を見ても、まぁ、そりゃこの監督ならこうなるよね、と広い心で(我慢して)見ていたのですが、私を激怒させたのは、何と言ってもあの「オリジナルのOPの不完全再現」ですね。名曲であるオリジナル主題歌に合わせ、できるだけ完全再現したあのOPムービー、一部にはあれが撮りたかったんじゃないの?と言うネットの意見もあった程だけど、何が完全再現だ!ダイナミックスマッシュのシーン(バトルホッパーで壁ズバーン)が無いやないか!あ、いや、そこじゃない。アレを見て「うわー、完全再現だ!」などと、原作ファンが喜ぶとでも思ったか!むしろ「ほら!完全再現だよ!嬉しいでしょ?良いでしょ?」と虚仮にされたとしか思えないんだよ!もう怒りしかない。あそこまでストーリーを紡いでいった中、全然原作をリスペクトしていないのを露見させた果てに、あれで贖罪したかのように「どう?再現だよ!」と言われても!だったら何故、世紀王同士の最終決戦の際、折角少し高い位置で西島秀俊を待ち構えていた日本テレビの水卜アナの旦那に「待っていたぞ!南光太郎!」ぐらい言わせなかったんだよ!出ちゃってるんだよ!愛の無さが。オリジナル楽曲を使う責任の重さをもっと考えろよ!ラスト付近、総理大臣を怪人が殺すシーンがあるけれど、あの中途半端なオリジナルOPの使い方は何だよ!何だと思ってるんだよ!いやー、冷静さを失うほど私は憤っている次第で…。『シン・仮面ライダー』はそれの後だから、何をどうやったところで、良く見えるに決まっている。しかも、賛否両論は巻き起こるだろうけれど、少なくとも原作愛に関しては任せても良い監督である。大丈夫だ。庵野秀明の小指の先一本あれば「仮面ライダーBLACKSUN」の監督の原作愛は凌駕出来るよ。
 そしてまた、或る意味で「シン・仮面ライダー」は不運だったともいえる。オリジナルの「仮面ライダー」をその時代に合わせてリブートしようという動きは、過去にもあった。誤解を恐れずに言うならば、俗に新・仮面ライダーと呼ばれるスカイライダー(おっと私の世代の仮面ライダーではないか)もそうだし、さらに紛らわしいけど「真・仮面ライダー~序章~」もそう。そして、本来の意味では「仮面ライダーZO」と「仮面ライダーTHE FIRST」がそれに当たるだろう。中には明らかに失敗作…というか私の好みにはまるで合わなかったものもあるけれど、名作と言われるものもある。「仮面ライダーZO」は、あの時代の背景で、改めて初代の「仮面ライダー」を描き直した珠玉の名作だ。たった43分でヒーローの誕生から最終決戦まで描き切る、雨宮慶太監督の手腕が凄い!しかも、賛否両論あった監督のマニアックな部分が暴走したコマ撮りのクモ女戦も、あのぐらい監督に好き放題やらせて良い、いわゆる監督特権だと思わせてしまう全体の出来の良さだった。ラストのテーマソングのイントロが掛かって来るシーンは痺れたよ。あそこ、あまりにも麻生勝(土門廣)がハマり過ぎて、一瞬、俺の目には仮面ライダーZOに見えた、と言わしめた素晴らしいラストカットだった。雨宮監督の仮面ライダー愛が溢れていたと言えよう。間違いなく、監督が「俺の仮面ライダー」を確立した瞬間だった。これらと「シン・仮面ライダー」は、比較される宿命にある。庵野とて、それを意識していない筈は無い。あれを「越えなければ」と思っている作品もあっただろうし、きっと「これは俺の求めているものじゃない」と思ったものもあるだろう。それらを踏まえて、決定版ともいうべき、この令和の空に問う、原作愛溢れるものを作らざるを得なかった。一番は自分のためかも知れないが、敢えて言うなら全国のオリジナルの「仮面ライダー」ファンのために、庵野は頑張ってくれたのだと思う。総ての批判を受け止める覚悟で。大ヒットさせてやろうなんてのは二の次で、俺の仮面ライダーを作ろうとした筈だ。そして、それはかつて新時代の仮面ライダーと称する番組に「こんなの仮面ライダーじゃない」と叫んだ総ての人への福音。そのためにあらゆる批判が巻き起こるのは必然。今の人々は、真の仮面ライダーを知らないのだから・・・。
 ここからは、実際の映画のストーリーを総てではないが、追って行きつつ語りたい。それをネタバレというなら、ここで読むのを止めて欲しい。通例、私はこういう書き方はしないのであるが、今回は行かせて貰う。あまりにも、自らの不勉強を棚上げにして、ネットの評論家の意見に染まる連中が多いのに心を痛めたためなのか、それとも物言わぬ庵野の代わりに私が、という気持ちなのか。とにかく書くよ。BE HAPPY.