架空空間に引きずり込むブログ

ただ一人の大切な友のために書くブログです。離れていてもソウルは一つ!

怒っています。例の配信作品について。

 いやぁ、管理人にしては珍しく怒っている訳ですよ。アマゾンプライムビデオで配信が始まった「仮面ライダーBLACKSUN」についてですよ。もうネタバレも何も気にせずに書いてしまうんで、まだ見ていない読者は完全スルーをおすすめします。お気をつけください。それでは・・・行きます。

 うん。最初から判ってはいたんです。白石和彌なんて社会派アウトロー的なモノを撮る監督にやらせるってからには、これまでと全然違うカラーでやりたいんだな、と。黙ってても話題になるであろう「シン・仮面ライダー」とどうしても比べちゃうでしょうから。それに、大人向けのものを撮るんならアマゾンズとも比べられるでしょうしね。だから、少々のことには目を瞑ろうと覚悟していました。もう「こんなの仮面ライダーBLACKじゃない」なんて当たり前の感想を言うほど若くもないしね。でも、それでもなお、仮面ライダーBLACKを支持する者として、今回のリブート作品にはどうしても許せないことがありました。既にネットでも賛否両論あるようですが、激賞する人と唾棄する人の二極化が強い傾向もあるようです。ですが、私の怒りというのは駄作だからとかいう理由ではありません。ただ、仮面ライダーへのレスペクトがあまりにも欠けていると感じてしまったからです。

 いや、そりゃ監督が監督だけに、現代社会の暗部をテーマにするのは想定の範囲内ですが、まさかあんなに直接描くとは思いませんでした。人種差別、ヘイトスピーチ日本赤軍731部隊、ジョージ=フロイド氏が警察官に殺された事件等々、色々枚挙に暇が無い。そして自民党の政治手法を描くだけならまだしも、色々そっくりさん的な政治家が出て来るのは…ちょい悪趣味が過ぎる気も。でも私はそんなところに怒っている訳ではない。多少、菊の御紋が出て来たことには怒っているけれども、それは些細なこと。じゃ、じゃあ、お前は何に怒っているんだと言われれば・・・それは「変身」というものに対するクリエイターの姿勢。形だけしっかりしていれば、俳優のカッコ良さと本気の演技があれば、良いと思ってる?それは違うぞ!と声を大にして言いたい。変身というものの重さが、全く現れていない!オリジナルをどこかでやれば良いよね?って問題じゃないと思う。何だか小馬鹿にされているような気までしてしまう。何だか、「どう?マニア感涙でしょ?」と押し付けられているような気がしてしまう訳で。マニアを喜ばせたいなら、ライダーキックももっと大事に描けよ!シャドームーンへのフィニッシュブロー、アレで良いのか?

 そもそも、この作品の世界観として、大して怪人が強くない(そりゃタイマンでは人間よりは強いんだけど、警察の拳銃で十分殺せてしまう)というのは舞台装置として必要だったのは解るんだけれど、パッと目で怪人かそうでないかを劇中の登場人物が見分けられたり見分けられなかったりというのも良く解らんし、何よりシャドームーンクラスの怪人が、鉄の鎖一つ引きちぎれずに50年幽閉されているのもまるで納得が行かない。その割に終盤で手錠を引きちぎるシーンもあるのでさらに納得が行かない。もっと言えば、その時に今まで自分を取り囲んでいた警察?の連中を惨殺するのかと思えば、三十六計逃げるに如かず的に逃げて行くし、その辺りの矛盾が気になって仕方がない。変身ベルトの存在理由も曖昧なのと、きっちり変身ポーズを決めて変身したら完全態(完全体かも)になると称されているんだけれど、それでも武装した警備の連中を薙ぎ倒せないのでは、本当に萎える。ラスト付近、ほぼ主役とも言えるカマキリ怪人にベルトまで出現させての変身ポーズを取らせ変身させた直後、警備の連中に取り押さえられるのは本当に納得できない。あそこは鎌で撫で斬りで良かったんじゃないか?だったら何故変身ポーズ取らせた?変身を何だと思ってる?取らせりゃ喜ぶと思っていたら、ファンをなめているぞ。

 それと、全般的に怪人のデザインのクオリティが低い。オリジナルのそれが素晴らしいのも相まって、今作の様々な怪人のアラが目立ち過ぎる。予算が無かった?だったらキャストをケチれよ!誰ひとり知らないキャストが居ないレベルの配役を削れば、もっとイケただろうに。三神官、酷くないですか?最強の戦闘力らしいバラオムも、全く強さが伝わって来ないし。

 そして、物議を醸す最高潮が何と言っても10話冒頭の仮面ライダーBLACKのOPのほぼ完コピ(ダイナミックスマッシュが無いので完コピではないぞ!)。色んな見方があるでしょうけど、個人的には『馬鹿にするな!』と怒れて来てしまいました。唐突だし、今まで大人向け大人向けして来ておいて、最後に歩み寄るなんて、贖罪なのか?だったら最終決戦、もっとやることがあるだろう!その直後、ゴルゴム党本部に乗り込んで行く際に、正面切って行く訳だし、しかも吹き抜けホールの階段のある下のところに突入した時、ファンは待っていた訳ですよ。さっきのオープニングもあったことだし、この見下ろしの画角があるなら、もうアレですよ。もうアレが来るんだと信じていましたよ。踏み鳴らす無機質な足音、ちらりと映るサーベルの切っ先、響く無慈悲な声、『待っていたぞ!南光太郎!否、ブラックサン!』これじゃないんですか監督!これがあって、追加で『信彦ォッ!』『ここがお前の墓場だ!』があれば、さっきのオープニングの件は水に流そうとまで思っていたのに、まさかのスルー。だったら思わせ振りな見下ろしの画角にするなよ!ホンマに。で、まさかのフィニッシュブローがライダーパンチ(しかもアッパー)。さらに言えば致命傷を与えた感が何にも無い。どないやねん。音楽の使い方も文句があり、何故か最後、ルー大柴演じる総理(演技は良かった)を脇を固めるキャラがあっさり惨殺する際に、何故オープニングのイントロを使った?しかも中途半端に音楽止めるし。川村栄二に失礼じゃないのか。

 そして、問題のラスト付近の描写。ここも議論の的ではあるけれど、僕は物語としてこのラストは認めたい。結局、視聴者である我々は、どちら側の人間であるかを強烈に意識させるところでもあるでしょうし。しかし!ここでも管理人激怒ポイントが。どう考えてもココは、エンディングの音楽は「Long long ago, 20th Century」だったのじゃないか?寂寥感漂う歌詞に乗せ、この救いようの無い物語の最後を彩るのは、この曲を除いて他には無いだろう。シャドームーンも『あの頃に戻りたい』なんて泣き言を最後に言ってたじゃないか。緑なす大地、四季折々の花、白い砂浜と…可憐な桜貝…これでバッチリだったんじゃないか?オープニングパクってる暇があったら、こっちだったんじゃないか?♪ふ~る~き良き時~Long long ago, 20th Century~♪だったら全てを洗い流してくれたんじゃないか?私はそう思うのです。

 

 最後に一言。演じた役者の皆様、あなた方の熱演には私は何の文句もありません。駄目なのはデザインと演出だと言っているだけです。自動変形のベルトには食指が動きませんけど。あんなのに変身するんじゃなあ…。